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出品作家メッセージ

出品作家メッセージ「モネに寄せて」 ①小野耕石、福田美蘭、丸山直文

本展に出品されている現在活躍中のアーティストのメッセージを、3回にわたりご紹介します。開幕に先駆けての第1弾は小野耕石、福田美蘭、丸山直文の3氏です。

小野耕石
 僕がモネにもっている最初の印象は《積みわら》だ。田舎のだだっ広い農村に大きなわらが積まれ、グレーの光に包まれている。地元にある大原美術館に遠足に行った時の記憶だろう。背景にあるひょろ長いおじぎをした木には馴染みなかったが、なんだか総社市の田園風景を思わせて親近感がわいた。
 高校を卒業して東京に出た。上野にある西洋美術館で大きな《睡蓮》を見た時の違和感はまだ頭に残っている。小さい作品がでかくなっただけだと思った。というよりは、眺めている窓のサイズが変わった、見ているコッチは同じまま。そうか、《睡蓮》は彼が見ている指の鉤カッコの大きさが違うだけなんだ。そして僕にとってモネは多島美として作品を体感できる数少ない作家である。

福田美蘭
 風景の一部を切り取り、見る者の想像力によってイメージが拡がる手法により、新しい風景のヴィジョンを生み出したモネは、光と色彩の実験を大胆に推し進める中で、日没後の人工の光にはほとんど無関心であった。私は現代における光の意識とは、夜の人工光であるように思い、新作では、高層のレストランから見える、ガラス越しの夜景の実像と、ガラス面に映り込む室内の虚像が交錯するイメージを描いた。同時にモネの睡蓮が生み出す「中心の喪失」の感覚と、物の確かさが見る側の推測となっていく、連想としての空間を画面に拡げた。モネの何を見たかではなく見て描いたものが何か、ということのためには更にこの作品を身体性を含んだ抽象的なものとしなければならない。

丸山直文
 モネは何かの形を借りないと描けない光や大気の現象に形を与えようとした。その光や大気は、雰囲気や気分という言葉に置き換えてもいいかもしれない。雰囲気とか気分というと、移ろいやすく曖昧でネガティヴなものに一見思われてしまうかもしれないが、だからこそそれを構築することはとても難しいことだ。彼は決して見えるものを見えるままに描いたのではない。モネは何かを描こうとしたのではなく、環境(自然)そのものをキャンヴァスの上につくり出そうとしたのだと思う。

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